大阪府堺市の「百舌鳥(もず)」と、羽曳野市および藤井寺市の「古市(ふるいち)」には、4世紀後半から6世紀前半にかけてつくられた89基の古墳が残っている。長さ200m以上の巨大前方後円墳が11基もあるのが特徴だ。百舌鳥には全長国内第1位486mの仁徳天皇陵古墳が、古市には第2位425mの応神天皇陵古墳がある。2019年7月、墳形がよく残っている49基が世界文化遺産に登録された。
古墳に入ることはできないので、周りを歩いて見学する。南海堺東駅前の堺市役所21階展望ロビーからは、仁徳天皇陵古墳をはじめとする古墳群を望むことができる。仁徳天皇陵古墳に隣接する大仙公園内の堺市博物館には仁徳天皇陵古墳の常設展示がある。百舌鳥のニサンザイ古墳は堀の中にある古墳の美しい形がよくわかり、見学に適している。
(大阪府・堺)
世界遺産より約3.9km、車10分
(大阪府・堺)
世界遺産より約1.9km、車7分
(大阪府・天王寺)
世界遺産より約14.1km、車30分
和歌山県、奈良県、三重県にまたがる紀伊山地に点在する3カ所の霊場(熊野三山、吉野・大峯、高野山)と、それらを結ぶ参詣道。豊かな自然につつまれ、神秘的、文化的な景観が広がる非常にロマンチックな世界遺産で、みどころも尽きない。範囲が広大で3霊場を一度の旅でめぐるのは難しい。目的地を決めて旅をしよう。
熊野三山は熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の総称。すべてを通る熊野古道・中辺路(なかへち)は、歩きやすくみどころも豊富。白浜などを起点とし、ゆっくり時間をかけて散策したい。熊野古道の雰囲気を短時間で楽しむなら、那智勝浦方面から大門坂、熊野那智大社、那智の滝などをめぐる旅がおすすめ。
(和歌山県・那智勝浦)
熊野那智大社より約11.7km、車31分
(和歌山県・那智勝浦)
熊野那智大社より約11.5km、車28分
(和歌山県・川湯温泉)
熊野本宮大社より約4.4km、車9分
白鷺城(しらさぎじょう)とも呼ばれる美しい城。黒田官兵衛が毛利攻めの拠点として羽柴秀吉に献上した城としても知られる。2015年3月に平成の大修理が終わり、グランドオープン。5年半ぶりに公開された大天守の最上階から景色を一望し、城主の気分にひたりたい。スマートフォンで往時の城内の様子などを楽しむことができる仕掛けも登場した。入場料は大人税込1,000円。
姫路はJR利用で神戸まで約40分。神戸を中心とした兵庫観光とあわせた旅がおすすめだ。有馬温泉や淡路島などの観光スポットと一緒に楽しみたい。また、新幹線利用で新大阪まで約30分、岡山まで約20分と近隣県へのアクセスもよい。
平安京以来1,000年にわたり日本の都であった京都。歴史の中で作られた数々の建築物のうち、京都市、宇治市、滋賀県大津市の17物件が世界遺産に登録されている。10円玉のデザインでおなじみの平等院、枯山水を代表する石庭が有名な龍安寺、糺(ただす)の森が四季折々の美しさを見せる下鴨神社など、どの遺産も見ごたえがある。ゆっくり滞在して古都の魅力を堪能したい。
世界遺産めぐりだけでなく、グルメ、街歩きなど楽しみ満載の京都の旅は、宿選びが重要。人気のホテル、旅館が点在するので計画に合わせて選ぼう。京都駅・四条河原町エリア、清水・祇園・銀閣寺エリアがおすすめ。
律令国家の完成や仏教の興隆など、日本社会に大きな影響を与えた奈良時代。奈良市には都・平城京の中心であった平城宮跡、聖武天皇の発願で創建された東大寺、平城京守護のため建てられた春日大社など重要な史跡が残る。これに興福寺、元興寺、薬師寺、唐招提寺、春日山原始林を加えた8つの物件が世界遺産として登録されている。歴史ロマンを感じる魅力的な遺産ばかり。
JR・近鉄奈良駅を起点とした場合、徒歩圏内の奈良公園エリアに多くの遺産があり、そのほかの遺産も電車・バス利用で1時間以内に到着できる。周辺に1泊すれば一度の旅ですべての遺産を回ることも可能。時間があれば旧市街地「ならまち」の散策も楽しみたい。
聖徳太子にゆかりのある「法隆寺地域の仏教建造物」は1993年、日本ではじめての世界遺産に登録された。法隆寺の金堂、五重塔、中門、回廊、法起寺の三重塔は、現存する世界最古の木造建造物群。建造物以外にも、飛鳥・奈良時代の仏像、仏教工芸品など多数の文化財を見ることができる。
この地域は斑鳩(いかるが)の里と呼ばれ、広い範囲に史跡が点在している。世界遺産の法隆寺と法起寺だけでなく、藤ノ木古墳、中宮寺、法輪寺などもあわせて回りたい。レンタサイクルの利用もおすすめ。
世界遺産登録を目指す文化財や建造物は、各国がユネスコ世界遺産センターに提出している「暫定リスト」から推薦されます。日本の「暫定リスト」に掲載されている世界遺産候補地を紹介します。
710年の平城京遷都まで政治の中心であった飛鳥・藤原の地には、古代日本の歴史を伝える多くの遺産があり、世界文化遺産登録を目指している。飛鳥の遺産は、飛鳥歴史公園として保存されている。日本最大の方墳といわれる石舞台古墳、色彩鮮やかな西壁の女子群像が有名な高松塚古墳、天文図や四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)の壁画が発見されたキトラ古墳などのみどころがある。
飛鳥地域の移動には「かめバス」が便利。1日フリー乗車券大人税込650円。飛鳥駅や橿原神宮前駅周辺でレンタサイクルを利用して回るのも効率的。
(奈良県・橿原神宮前)
世界遺産より約4.3km、車12分
(奈良県・橿原神宮前)
世界遺産より約4.7km、車13分
江戸時代初期に井伊家によって建てられた彦根城。天守閣は、姫路城、犬山城、松本城とともに国宝となっている。美しい天守の姿、琵琶湖を含む天守からの眺望のほかに、近江八景を模して作られた城内の庭園・玄宮園、井伊直弼が青春時代を過ごしたという埋木舎などのみどころがある。
彦根城は広大な堀に囲まれている。屋形船が出ていて約50分で一周できる。毎日、本丸などに人気キャラクター「ひこにゃん」が登場する。1,000本以上の桜があり、桜の名所としても有名だ。
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新聞記者、フリーライター、雑誌・旅行ガイド編集者を経て、現在旅行会社の編集部門に勤務。2014年3月、日本旅行業協会(JATA)より世界遺産スペシャリスト認定を受ける。温泉ソムリエマスターの資格も保有しており、旅行系編集者として記事執筆、ウェブページの編集を行なっている。日本の世界遺産の発展と旅行需要喚起を目標に活動している。
2014年7月より新設された世界遺産検定4級対応の公式テキスト。4級は中学2年生以上を対象としており、日本の遺産を中心に、日本と海外の遺産の比較や代表的な世界の遺産の全50件を解説している。世界遺産検定は、マイスター、1級、2級、3級、4級の各級がある。